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結婚・出産を考えると、選ぶ会社は変わる?変えるべき?

その他2026-05-16
A

質問内容

就活を進める中で、将来の結婚や出産のことがどうしても頭をよぎります。今は仕事に集中したいと思っていますが、いずれライフイベントを迎えたときに働き続けられる環境かどうかは気になります。周囲の女性の先輩からは「制度が整っている企業を選んだほうがいい」と言われる一方で、「やりたい仕事を優先すべき」という意見もあります。また、男性の立場でも育児参加を考えると会社選びに影響があるのではないかと感じています。結婚や出産といった将来のライフイベントを見据えて会社を選ぶべきなのか、それとも今やりたいことを優先すべきなのか。実際に社会人になってから感じたことを教えてください。

ポイント

  • 制度の有無だけでなく、制度が実際に使われているかという「運用実態」を確認することが重要
  • 将来のライフイベントに備えつつも、今のキャリア形成をおろそかにしない両立思考が大切
  • 性別に関係なく、働き方の柔軟性はすべての社会人にとって重要な企業選びの基準になっている

結論

結婚や出産を考えて会社選びを変えるべきかという問いに対しては、「変えるべき」ではなく「視野に入れるべき」が適切な答えです。将来のライフイベントだけを基準に企業を選ぶと、今の自分のやりたいことや成長機会を見失う可能性があります。一方で、全く考慮せず目先のやりがいだけで判断するのも、長期的に見れば現実的ではありません。

重要なのは、ライフイベントへの対応力を企業選びの「唯一の基準」にするのではなく、「複数の基準のうちの一つ」として位置づけることです。仕事内容、成長環境、社風、待遇、勤務地などと並列で検討し、総合的に判断するのが望ましいアプローチです。ライフイベントへの対応力だけで企業を選ぶと、「制度は充実しているけれど仕事にやりがいがない」という状況に陥りかねません。

企業の育児支援制度を調べる際は、制度が「ある」だけでなく、「使われている」かどうかに注目してください。育休取得率、復職率、時短勤務の利用状況、男性の育休取得実績などが参考になります。制度があっても「取得すると出世に響く」という暗黙の空気がある企業では、実質的に利用しにくいのが現実です。OB・OG訪問や口コミサイトで運用の実態を確認することをおすすめします。

また、社会全体として働き方の多様化が進んでおり、リモートワークやフレックスタイムを導入する企業が増えています。今の時点で制度が不十分でも、数年後に大きく改善される可能性もあります。逆に、現在制度が充実している企業でも、配属部署や上司の理解度によって運用は大きく異なります。制度の有無という表面的な情報だけでなく、職場の文化や風土を見極めることが重要です。

最終的に大切なのは、どんな環境に置かれても選択肢を持てるよう、入社後にしっかりとスキルを身につけ、キャリアを築いておくことです。自分自身の市場価値が高まれば、ライフイベントに合わせた働き方の変更や転職も柔軟に行えるようになります。制度に頼るだけでなく、自分の力でキャリアの選択肢を広げておくことが、最も確実な備えです。

体験談

制度重視で企業を選んだGさんが直面した想定外の壁

Gさん(28歳・女性)は消費財メーカーに勤務して6年目を迎えています。

「制度重視で選んだ会社で育休を取得して復帰しました。ただ、想定外のことも多かったです。」

就活のとき、正直に言って仕事内容よりも「長く働ける環境」を最重視していました。育休取得率や復職率が高い企業を中心にエントリーし、消費財メーカーの総合職に入社しました。入社4年目で結婚し、5年目に出産。1年間の産休・育休を経て、現在は時短勤務で復帰しています。制度面では期待通りで、申請手続きもスムーズでしたし、上司も「遠慮なく使って」と言ってくれました。

しかし想定外だったのは、復帰後のキャリアの停滞感です。時短勤務では以前のようにプロジェクトリーダーを任されることがなくなり、ルーティン業務が中心になりました。上司としては配慮のつもりだったのでしょうが、同期がどんどん昇進していく中で自分だけ立ち止まっている感覚は正直辛いです。「制度は使えるけれど、キャリアは停滞する」という現実があるのだと身をもって知りました。

失敗だったのは、入社後の最初の3年間で専門スキルを十分に磨かなかったことです。心のどこかで「いずれ育休を取るから、そこまで頑張らなくても」と無意識にブレーキをかけていた部分がありました。復帰後、同期との実力差を痛感しています。制度がある安心感に甘えるのではなく、入社直後から全力でキャリアを積み上げるべきでした。復帰後に「この人にしかできない仕事がある」と思ってもらえる専門性があれば、時短勤務でも重要な業務を任されていたはずです。

ライフイベントを全く考えなかったHさんの気づき

Hさん(27歳・男性)はシステム開発会社に勤務して5年目になります。

「育児のことなんて考えもしなかった自分が、子どもの誕生で価値観を根底から覆されました。」

就活のとき、ライフイベントのことは頭の片隅にもありませんでした。技術力を伸ばせる環境を最優先にして、エンジニアの評価が高いシステム開発会社に入社しました。残業が多い会社であることは入社前から知っていましたが、「若いうちは技術を磨くことに集中したい」「多少の無理は成長の糧になる」と考えていたので、全く気にしていませんでした。

しかし入社4年目に子どもが生まれて、価値観が一変しました。繁忙期と重なっていたため育休を取る雰囲気ではなく、上司に相談しても「今のプロジェクトが終わってからなら」と言われました。結局、育休は2週間だけ。それも有給休暇を組み合わせてなんとか確保したものです。妻には大きな負担をかけてしまい、「もっと育児に参加してほしい」「このままでは一人で育てているのと変わらない」と何度も言われました。子どもの夜泣きに対応したくても翌日の仕事を考えると起きられず、土日も持ち帰り仕事で家族と過ごす時間が取れない日が続きました。

失敗だったのは、入社前に「この会社で育児をしながら働いている男性社員はいるのか」「リモートワークやフレックスの制度はあるのか」という視点で全く情報収集をしなかったことです。技術力だけでなく、働き方の柔軟性も企業選びの重要な基準だったと痛感しています。現在はリモートワーク制度を活用して多少は改善していますが、根本的な解決にはなっていません。

やりたい仕事を軸に選びつつ将来も見据えたIさんの戦略

Iさん(25歳・女性)は医療機器商社に勤務して3年目です。

「ライフイベントは頭の片隅に置きつつも、今やりたい仕事を最優先にしました。」

大学で生物学を専攻していたこともあり、医療に関わる仕事がしたいという気持ちが強く、医療機器商社に入社しました。就活中、親からは「営業職は体力的にきつい」「将来子育てとの両立が心配」と言われ、友人からも「もっと福利厚生のいい企業にすれば」とアドバイスされました。確かに不安はありましたが、「今しかできない挑戦をしたい」「スキルを身につけておけば将来の選択肢は広がるはず」という考えで、やりたい仕事を最優先にしました。

入社してみると、医療機関への営業は出張も多く、体力的にハードな面はあります。「この働き方で将来子育てと両立できるのか」と不安になる瞬間はゼロではありません。ただ、今の仕事で得ている医療業界の専門知識、医師や病院経営者との人脈、提案営業のスキルは、将来どんな働き方をするにしても確実に武器になると感じています。実際に同じ会社で育休後に復帰した先輩は、営業から学術部門に異動し、専門知識を活かしながら出張の少ない働き方をしています。

失敗だったのは、「やりたいことを優先する」と決めたはずなのに、SNSで同世代の友人が「ホワイト企業で定時退社」と投稿しているのを見て気持ちが揺れてしまうことです。先輩に相談したら「迷っている時間が一番もったいない。今できることに集中しなさい」と言われ、目が覚めました。今は「入社3年間で業界の専門家になる」という明確な目標を立てて、目の前の仕事に全力投球しています。

対処法

ライフイベントと会社選びのバランスに悩んでいる方へ、具体的な対処法を提案します。

第一に、企業の制度を「存在」ではなく「実績」で評価してください。採用サイトに書かれている制度は額面通りに受け取らず、実際の取得率や復職率で判断しましょう。OB・OG訪問で「育休を取った方は復帰後どんなキャリアを歩んでいますか」「男性で育休を取得した実績はありますか」と具体的に質問してみてください。答えをはぐらかされた場合、制度が十分に機能していない可能性があります。

第二に、入社後の最初の数年間を「キャリアの基盤づくり」と明確に位置づけてください。ライフイベントに備えるとは、制度のある企業を選ぶことだけではありません。自分自身の専門性を高め、社内外で「この人に任せたい」と思ってもらえる実力をつけることが、最大の備えになります。スキルのある人材は、ライフイベント後も重要な仕事を任されやすいですし、万が一転職が必要になっても選択肢が広がります。

第三に、5年後・10年後の理想の働き方を複数パターン描いてみてください。「フルタイムで働き続ける」「一時的に時短勤務にする」「リモートワーク中心に切り替える」「フリーランスに転向する」など、複数のシナリオを想定しておくことで、一つの企業に人生の全てを託す必要がなくなります。

第四に、パートナーとの役割分担についても早い段階から考えておいてください。ライフイベントへの対応は自分一人で抱え込む問題ではありません。将来のパートナーとどのように家事や育児を分担するかによって、自分が企業に求める条件も変わります。

よくある誤解

「女性だけが結婚・出産を考えて会社を選ぶべき」という考えは、性別による固定的な役割分担を前提としたものです。現代では男性の育児参加が進んでおり、働き方の柔軟性は性別を問わず全ての社会人にとって重要な基準です。ライフイベントへの対応を女性だけの課題として捉えるのは、男性にとっても、社会全体にとっても望ましくありません。

「大企業なら制度が充実しているから安心」というのも、必ずしも事実ではありません。制度があっても部署や管理職の理解がなければ実質的に利用しにくい企業は存在します。逆に、規模の小さい企業でも、社員一人ひとりの事情に合わせて柔軟に対応してくれるところはあります。企業の規模やブランドではなく、運用の実態で判断することが大切です。

「ライフイベントを考えると、責任の重い仕事やキャリア志向の強い働き方は避けるべき」という誤解もあります。しかし実際には、スキルや実績を積み上げた人ほど、ライフイベント後の復帰がスムーズです。「代えのきかない人材」になることが、制度以上に自分を守る力になります。

まとめ

結婚や出産を見据えた会社選びは重要ですが、それだけを基準にする必要はありません。制度の実態を確認しつつ、今の自分が成長できる環境を選ぶことが、長期的に見て最も賢明な判断です。ライフイベントへの最大の備えは、制度の整った企業に入ることだけでなく、どんな環境でも価値を発揮できる自分自身を作ることです。入社後の数年間でしっかりとキャリアの基盤を築き、将来の変化に柔軟に対応できる力を蓄えてください。制度と実力の両方を味方につけることが、安心してキャリアを歩むための鍵になります。

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