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就活で「自分らしさ」を諦めた人と貫いた人、どっちが幸せ?

その他2026-05-16
A

質問内容

就職活動をしていると、「自分らしさを大切にしよう」という言葉をよく耳にします。しかし実際のところ、自分らしさを貫いて就活した人と、ある程度妥協して現実路線に切り替えた人では、入社後にどちらが満足しているのでしょうか。私はもともとクリエイティブ系の仕事に就きたかったのですが、選考が思うように進まず、途中から安定重視の業界に方向転換しました。内定はいただけたものの、「本当の自分を殺してしまったのでは」という後悔が消えません。一方で、自分らしさにこだわりすぎて就活が長期化している友人を見ると、それはそれで辛そうです。自分らしさを大事にした就活と、現実に合わせた就活、結局のところどちらが正解なのでしょうか。先輩方の体験を聞かせてください。

ポイント

  • 「自分らしさ」と「社会適応」は二者択一ではなく、入社後にいくらでも統合できる
  • 就活時点の判断だけで人生の幸福度が決まるわけではなく、入社後の行動こそが重要
  • 自分らしさの定義は年齢や経験とともに変化するため、今の判断に過度な正解を求めなくてよい

結論

就活で自分らしさを貫いた人と諦めた人、どちらが幸せかという問いに対する答えは、「就活時点の選択そのものよりも、入社後にどう過ごすかで決まる」というのが多くの社会人の実感です。

自分らしさを貫いて希望の業界に入った人でも、入社後に理想と現実のギャップに苦しむことがあります。「好きなことを仕事にしたはずなのに、思っていたのと違う」という声は少なくありません。逆に、妥協して入社した人でも、仕事を通じて新たなやりがいを発見し、結果的に充実したキャリアを歩んでいる人も数多くいます。つまり、入社時点の満足度と、5年後10年後の満足度は必ずしも一致しないのです。

大切なのは、「就活の時点で完璧な正解を出さなければならない」という思い込みを手放すことです。社会人としてのキャリアは数十年続くものであり、就活はその長い旅の出発点にすぎません。出発点でどの道を選んだかよりも、歩き始めてからどれだけ工夫し、学び、成長したかのほうが、人生の満足度に与える影響はずっと大きいのです。

また、「自分らしさ」という概念自体が、経験を積むことで変化していきます。学生時代に思い描いていた自分らしさと、社会に出て3年後、5年後に感じる自分らしさは異なるものです。20代前半の時点で自分らしさを完全に定義し、それに完璧に合致する道を選ぼうとすること自体に無理があるとも言えます。むしろ、さまざまな経験を通じて「自分らしさ」が磨かれ、深まっていくと考えるほうが自然です。

どちらの選択をしたとしても、「この選択を正解にする」という姿勢で日々を過ごすことが、最終的な幸福感につながります。就活での選択に後悔を感じている方は、その感情を否定する必要はありませんが、過去の選択に縛られすぎず、今できることに目を向けてみてください。

体験談

自分らしさを手放した先に新しい自分を見つけたAさんの場合

Aさん(26歳・男性)は食品メーカーの営業職として入社4年目を迎えています。

「自分らしさを諦めたと思っていたのに、今は意外と楽しんでいます。」

大学時代、映像制作のサークルに所属し、映像関係の仕事に就くことが夢でした。自主制作した短編映画がコンテストで入賞したこともあり、「自分は映像の世界で生きていく」と信じて疑いませんでした。しかし映像制作会社の選考は軒並み不合格で、内定が出ないまま夏を迎えました。焦りから業界を広げ、最終的に食品メーカーの営業職として入社しました。

正直、入社当初は毎日のように「自分の人生はこれでいいのか」と考えていました。営業先を回りながらも頭の中では映像のことばかり。同期が営業成績を伸ばしていく中、自分だけ取り残されている感覚がありました。

転機は2年目に訪れました。社内の販促動画を作る機会をもらえたのです。「映像、得意だったよね」と声をかけてくれた先輩のおかげで、趣味で培ったスキルが社内で日の目を見ることになりました。その動画が社内で好評を得て、今では商品プロモーション動画の企画を任されることもあります。営業で培った顧客視点と映像制作スキルの掛け合わせが、自分にしかできない仕事を生み出していると感じています。

ただ、入社1年目に「こんな仕事やりたくない」と腐っていた時期があり、当時の上司との関係を悪くしてしまったのは大きな失敗でした。不満を態度に出してしまい、チーム内でも孤立しかけました。もう少し早く目の前の仕事に真剣に向き合えていたら、チャンスはもっと早く巡ってきたかもしれません。自分らしさを「業界」で定義していたことが間違いだったと、今では思います。

自分らしさを貫いたが理想通りにはいかなかったBさんの場合

Bさん(25歳・女性)はデザイン事務所に勤務して3年目になります。

「自分らしさを貫いたけれど、思い描いていた幸せとは少し違いました。」

美術系の大学を出て、どうしてもデザインの仕事がしたくて就活を続けました。大手の選考に全て落ちた後も中小のデザイン事務所を受け続け、周囲が次々と内定を決める中で自分だけ活動を続けるのは精神的にかなり厳しかったです。親からも「もう別の業界にしたら」と言われましたが、「ここで諦めたら一生後悔する」と思い、粘り続けました。最終的に11月に小さなデザイン事務所から内定をいただきました。

入社してみると、好きなデザインの仕事ではあるものの、現実は想像と違いました。残業が多く、クライアントの要望に沿う仕事がほとんどで、自分の作りたいものを作れる場面はほぼありません。「自分らしさを貫いて好きな仕事に就けば幸せになれる」と信じていましたが、好きな仕事であっても辛いことはたくさんあるのだと知りました。

ただ、デザインに関わる仕事を選んだこと自体は間違っていなかったと思っています。辛いときでも「自分で選んだ道だから」と踏ん張れる強さがあります。

失敗だったのは、「デザインの仕事なら何でもいい」と思って企業研究をおろそかにしたことです。仕事内容だけでなく、働き方や社風、労働時間などもしっかり調べておくべきでした。自分らしさを業種で定義してしまい、それ以外の条件をおろそかにしたツケが回ってきたと感じています。

自分らしさを考えずに入社したのに自分らしく働けているCさんの場合

Cさん(27歳・男性)は人材サービス会社で入社5年目を迎えています。

「就活では自分らしさなんて考えもしませんでしたが、今は自分らしく働けています。」

正直に言うと、就活のときに自分らしさなんて一切考えていませんでした。とにかく早く就活を終わらせたくて、受かったところに入ろうと思っていました。面接では「御社の理念に共感して」などと言っていましたが、本音は「どこでもいいから内定がほしい」でした。結果的に人材サービス会社に入社しましたが、最初は特に思い入れもなく、ただ言われた仕事をこなしていました。

しかし3年目に求職者のキャリア相談を担当するようになってから、仕事に対する意識が180度変わりました。人の話をじっくり聞いて、その人に合った道を一緒に考えるという作業が、自分にとって非常にやりがいのあるものだったのです。大学時代、友人の相談に乗るのが好きだったことを思い出し、「ああ、自分はこういう仕事が合っていたんだ」と初めて気づきました。

「自分らしさ」は就活で見つけるものだと多くの人が思っていますが、働く中で見つかることもあるのだと実感しています。むしろ、実際に仕事を経験してから見つけた自分らしさのほうが、現実に根ざした確かなものだと思います。

失敗談としては、入社2年目に「こんな会社にいても意味がない」と感じて転職サイトに登録したことがあります。上司にそれがバレて気まずくなり、しばらく関係が悪化しました。もう少し今の環境でできることを探してから判断すればよかったと反省しています。

対処法

自分らしさと現実の間で揺れている方に、以下の対処法を提案します。

まず、「自分らしさ」を具体的な言葉で書き出してみてください。漠然と「自分らしくありたい」と思っているだけでは、何を基準に判断すればいいのかわかりません。たとえば「人と深く関わる仕事がしたい」「ものづくりに携わりたい」「自分のペースで働きたい」「チームで協力して成果を出したい」など、具体化することで、実は複数の業界や職種で実現できることに気づくかもしれません。自分らしさを特定の業界や職種に限定してしまうと、選択肢が狭まります。

次に、5年後、10年後の自分を想像してみてください。今の選択は出発点であり、ゴールではありません。入社後に異動や転職、副業、社内公募など、キャリアを修正する機会は何度でもあります。「今の選択で全てが決まる」という前提を疑うことが、過度なプレッシャーから解放される鍵です。社会人のキャリアは一本道ではなく、分岐や寄り道を含んだ豊かな道のりです。

また、すでに社会人になっている先輩に話を聞いてみることも有効です。就活時に自分らしさを貫いた人、妥協した人、それぞれの現在の姿を知ることで、自分の選択に対する見方が変わることがあります。特に入社5年以上の方の話は、長期的な視点からの気づきをくれるでしょう。

最後に、どちらの道を選んだとしても、「この選択を正解にする」と決めてください。選択そのものの良し悪しよりも、選んだ後の行動のほうがはるかに重要です。後悔しながら過ごす時間を、目の前の仕事を充実させる時間に変えていきましょう。過去を変えることはできませんが、過去の選択の意味は、今の行動によっていくらでも書き換えることができます。

よくある誤解

「自分らしさを大切にする=好きなことを仕事にする」という誤解が広まっていますが、自分らしさは仕事の内容だけで決まるものではありません。働き方、人間関係、成長の実感、社会への貢献感など、多様な要素が「自分らしく働けている」という感覚を構成しています。好きなことを仕事にしていても、働き方が合わなければ苦しくなりますし、興味がなかった分野の仕事でも、周囲の人間関係が良ければ充実感を得られることがあります。

また、「自分らしさを諦めた人は不幸になる」というのも事実と異なります。多くの社会人は、入社後に仕事を通じて新しい自分を発見し、就活時には想像もしなかったやりがいを見つけています。自分らしさは固定されたものではなく、経験とともに育ち、変化していくものです。就活の時点で感じていた自分らしさが、5年後にも同じとは限りません。

さらに、「妥協=負け」という考え方も見直す必要があります。現実を踏まえて柔軟に判断する力は、社会人として非常に重要な能力です。自分の理想に固執しすぎることが、かえって可能性を狭めてしまうこともあるのです。柔軟性は弱さではなく、むしろ強さの表れです。

まとめ

就活で自分らしさを貫くか諦めるかという二択に正解はありません。重要なのは、どちらを選んだとしても、その後の行動で選択を正解に変えていく姿勢です。自分らしさは就活の時点で完成するものではなく、社会人としての経験を通じて育ち、変化していきます。今の選択に不安を感じている方も、入社後の自分の行動次第で、いくらでも理想のキャリアに近づけることを忘れないでください。就活はゴールではなく、長いキャリアのスタート地点にすぎないのです。

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