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「3年で辞める人」と「定年まで勤める人」、就活時点で何が違っていたのか?

その他2026-05-16
A

質問内容

大学3年生の男です。就活を進める中で、「新卒の3割が3年以内に辞める」という話をよく聞きます。周りの先輩でも、せっかく有名企業に入ったのに2年で転職した人がいる一方、地味な会社でも楽しそうに働き続けている人もいます。自分は「長く働ける会社がいい」と思っていますが、それが就活時点の選び方で決まるのか、入ってからの話なのかがわかりません。友人は「最初の会社なんてどこでもいい、合わなきゃ辞めればいい」と言いますが、本当にそれでいいのか不安です。3年で辞める人と長く勤める人は、就活の時点で何が違っていたのでしょうか?

この記事のポイント

  • 早期離職の背景には「企業選びの軸のズレ」と「入社後ギャップ」の2要因がある
  • 就活時に「働く自分の姿」を具体的にイメージできていた人ほど定着率が高い傾向
  • 長く働くかどうかは就活時の「情報の深さ」と「自己理解の精度」に大きく左右される

早期離職と長期定着、分岐点はどこにあるのか

厚生労働省の調査によると、大卒新卒者の約3割が入社3年以内に離職しています。この数字は過去20年以上にわたりほぼ横ばいで推移しており、一時的な現象ではなく構造的な問題であることがうかがえます。業種別に見ると、宿泊業・飲食サービス業では5割近くに達する一方、製造業やインフラ系では2割を下回るなど、業界による差も大きいのが特徴です。

ただし、「辞める=失敗」「続ける=成功」という単純な図式で捉えるのは早計です。本質的に重要なのは、「自分の意志に基づいた選択だったかどうか」です。早期離職者の退職理由として多く挙がるのは「仕事内容のミスマッチ」「職場の人間関係」「労働条件が聞いていた内容と違った」などですが、その根底には就活時の情報収集の浅さや、自己分析の掘り下げ不足が隠れていることが少なくありません。

一方で、入社5年以上勤務している社会人を対象にした民間の追跡調査では、「就活時にOB・OG訪問を3人以上実施した」「その企業の弱みやネガティブな面も含めて理解した上で入社を決めた」と回答した人の割合が顕著に高いという結果が出ています。つまり、就活時に「良い面だけでなくリアルな情報を得ていたかどうか」が、定着と離職を分ける大きな分岐点の一つなのです。

また、企業選びの基準にも興味深い傾向が見られます。「年収」「知名度」「福利厚生」といった条件面を最優先して選んだ人よりも、「どんな仕事内容で、どのような力が身につくか」という仕事の中身をベースに選んだ人の方が、入社3年後の定着率が高いという調査結果もあります。条件は時代や会社の状況に応じて変動しますが、仕事そのものへの納得感は、長く続くモチベーションの土台として機能するのです。

入社後の視点で補足すると、最初の1〜2年はどんな仕事でも辛い時期があります。慣れない環境、覚えることの多さ、思い通りにいかない毎日。そのとき「なぜこの会社を選んだのか」という原点に立ち返れる人は踏ん張れますが、選んだ理由が漠然としていると「別にここじゃなくてもいいのでは」という気持ちが膨らみやすくなります。就活時点での「納得感の深さ」が、入社後の粘り強さを支える土台になっているということです。

3人のリアルな歩み

Aさん(文系・女性・MARCH・メーカー営業職 入社4年目)

Aさんは就活当時、「安定した大企業に入りたい」という漠然とした希望で活動していました。企業研究は会社のホームページと説明会が中心で、OB訪問は1人だけ。内定をもらったメーカーは知名度もあり、親も「いい会社じゃない」と喜んでくれました。面接では「幅広い製品で社会に貢献したい」と答えましたが、正直それほど深く考えていなかったと振り返ります。

しかし入社後、配属されたのは東京ではなく地方の営業所でした。「東京で華やかに働く自分」をイメージしていたAさんにとって、このギャップは大きなものでした。「最初の半年は毎日辞めたいと思っていました。同期で東京配属になった子のSNSを見るたびに落ち込んで、実家に電話して泣いたこともあります」とAさんは当時を振り返ります。

転機が訪れたのは入社2年目のことでした。担当の先輩から「お前が売っているのは製品じゃなくて信頼だよ」と言われ、営業という仕事への見方が変わったそうです。それまでは「ノルマを達成するために製品を売り込む仕事」だと思っていたのが、「お客様の課題を解決するパートナーとしての仕事」だと気づけたのです。そこから顧客との関係構築に本気で取り組み始め、3年目には担当エリアの売上を前年比120%に伸ばしました。

「就活のとき、もっと『営業とは何か』『配属はどう決まるのか』を調べていたら、最初のショックは小さかったと思います。でも、辞めなかったからこそ今の自分がある。就活時点の情報不足は反省していますが、踏ん張った自分は褒めたいです」。4年目の今、Aさんは後輩の指導も任されるようになり、「地方営業所でよかった」と心から思えるようになったそうです。

Bさん(理系・男性・地方国公立・IT企業エンジニア → 2年で退職)

Bさんは大学院で情報工学を専攻し、プログラミングコンテストでも入賞経験がある技術志向の学生でした。就活では「最先端の技術に触れたい」という明確な志望動機を持ち、面接でも技術への情熱を熱く語り、高い評価で内定を獲得しました。入社前は「すぐに開発の最前線で活躍できる」と期待に胸を膨らませていました。

ところが配属先は、既存システムの保守運用チームでした。最先端どころか、10年以上前に構築されたレガシーシステムのコードを読み解き、バグを修正する日々。「これは自分のやりたいことじゃない」と感じ、3ヶ月目に上司に異動希望を伝えましたが、「まず今の部署で3年は経験を積んでほしい」と言われました。

「就活のとき、『最先端の技術に触れたい』とは面接で言っていたけど、入社後すぐにそれが実現するかどうかは確認していませんでした。会社説明会で紹介されていた華やかなプロジェクトの裏で、全社員の半数以上が保守運用に従事しているという事実を知らなかったんです」。Bさんは1年半悩んだ末に退職を決意し、20人規模のスタートアップに転職しました。現在は希望していた新規開発の業務に就いていますが、「前の会社が悪かったわけではない。就活時にもっと配属の実態や、新人がどんな仕事からスタートするのかを丁寧に聞いておけば、最初からもっと納得した選択ができたかもしれない」と率直に語っています。

Cさん(文系・男性・早慶・金融機関 入社7年目)

Cさんは就活時、3ヶ月かけて徹底的に自己分析をしたタイプです。過去の経験を振り返る中で、自分が「人の人生の大きな節目に寄り添う仕事」に強いモチベーションを感じることに気づきました。そこから金融機関の個人向け部門を第一志望に定め、業界研究に取り組みました。OB・OG訪問は合計8人に実施。そのうち3人は入社3年以内の若手社員を選び、「仕事のリアルなしんどさ」を中心に聞きました。

「ノルマがきつくて胃が痛くなることがある」「土日も資格試験の勉強で潰れる」「お客様に怒鳴られることもある」。そうしたネガティブな情報もすべて知った上での入社でした。実際に入社してみると、聞いていた通りのノルマに追われる日々が待っていました。しかしCさんは「聞いていた通りだな」と冷静に受け止めることができたそうです。覚悟ができていたからこそ、辛いことがあっても「想定内」と思えたのです。

入社4年目、住宅購入を検討しているお客様に最適な住宅ローンプランを提案し、「Cさんに相談して本当に良かった」という感謝の手紙をもらったとき、この仕事を選んで良かったと心から感じたそうです。「7年経った今は後輩の育成にもやりがいを感じています。先日、自分が育てた後輩が初めて大きな契約を取ったとき、自分のことのように嬉しかった。就活で深く考えた時間は、間違いなく今の自分を支えています」。Cさんのケースは、就活時の情報収集の「深さ」が入社後の粘り強さと充実感を支えた好例です。

就活時にできる具体的な備え

まず、**OB・OG訪問では「辛いこと」「辞めたいと思った瞬間」を必ず質問項目に入れてください。**良い話だけでなく、リアルな苦労話を集めることで入社後のギャップを大幅に減らせます。できれば同じ会社で3人以上に会い、共通して出てくる課題は「その会社の構造的な特徴」として捉えましょう。

次に、自己分析では「好きなこと」だけでなく「我慢できること」「耐えられないこと」も明確にするのが効果的です。どんな仕事にも我慢が必要な場面は必ずあります。「残業は平気だけど、人前でのプレゼンは苦手」「単調な作業は苦にならないけど、ノルマに追われるのは耐えられない」というように、自分の許容ラインを知っておくことがミスマッチの予防につながります。

さらに、**「3年後の自分」を具体的にイメージする習慣をつけましょう。**入社直後の華やかな姿ではなく、3年間地道に働いた後の自分を想像してみてください。「この会社で3年働いたら、どんなスキルが身についているか」「どんな仕事を任されているか」を具体的に思い描けるかどうかが、企業とのフィット感を測る指標になります。

最後に、企業選びの軸を「条件面」から「仕事の中身」にシフトすることを意識してください。年収や知名度は景気や業界動向によって変わりますが、日々の仕事内容や成長環境は入社後の日常的な満足度に直結します。「何をするか」にフォーカスした企業選びこそが、長期的な充実感につながるのです。

ありがちな思い込みに気をつけよう

「大企業なら辞めにくい」「ベンチャーはすぐ辞める人が多い」という固定観念は、データ上の裏づけが薄いものです。確かに企業規模による離職率の差はありますが、個人と仕事のフィット感、つまり「自分に合っているかどうか」の方がはるかに定着率への影響が大きいです。

また、「3年で辞めるのは根性がない」という見方も一面的です。合わない環境に無理に留まることが正解とは限りません。大切なのは、辞める理由が「現状からの逃げ」なのか「次のステップへの前向きな選択」なのかです。ただし、就活時点でしっかりと情報を集め、納得して入社していれば、そもそもその判断に迫られる確率は下がります。

まとめ

3年で辞める人と長く勤める人の違いは、就活時の「情報の深さ」と「自己理解の精度」に大きく関わっています。ネガティブな情報も含めて企業のリアルを理解し、自分が何に納得し何に我慢できるかを知っておくことで、入社後のギャップは格段に小さくなります。就活は「内定を取るゲーム」ではなく、「自分が納得して働ける場所を見つけるプロセス」です。焦らず深く考えて選んだその結果は、きっとあなたの将来を力強く支えてくれるはずです。

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